私は鹿児島県の片田舎出身です。
「手に職をつけなさい」と親に言われ、大工の道を選びました
みっちり現場で鍛えられ、25歳のときに独立開業。今に至ります。
20年ほど前になるでしょうか。
最盛期には90名の大工を抱え、年間200棟を超える家を建てていました。
しかしあるとき、ふと思ったのです。
棟数を重ね、会社を大きくして儲けることが自分の使命なのだろうか、と。
一人ひとりのお客様に寄り添って思いを形にし、感謝いただくこと。
それこそが真に「いい仕事」と呼べるものなのではないか。
紆余曲折を経て、ようやく私は自分がなすべきことを見出しました。
そして現在は、会社の規模を3分の1ほどにあえて縮小。
信頼できる仲間とともに、
「本当にいい家を、じっくりと、しっかりと」
という信念を持って事業を行っています。
さまざまな情報がインターネットで仕入れられるようになり、
お客様の目は確実に肥えてきています。
デザイン性のある外観や、最新の住宅設備。
もちろんその要望を満たすことはお約束しますが、
私は「目に見えない部分」にこそこだわりたいと思っています。
たとえば、当社で使用する構造材は通常よりも1モジュール太いもの。
「こんなに重い梁、上げられないよ」と、ときどき大工が嘆くほどです。
また、アンカーボルトやホールダウンといった金物も、
建築基準法で定められた倍の数を入れています。
それらは家が建ってしまえば壁や床に隠れてしまいます。
ただ、長年大工をやってきた性でしょうか、
お客様には「安心すぎる家」に住んでほしい、と思うのです。
おせっかいなのかもしれませんが、
「いい家をありがとうございます」と言われたら、
やっぱりやめられないんですよね。